前の記事では、病院で
「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断されたときの気持ちについてまとめました。
今回は「大人になってから発達障害の診断はどのように進むのか?」という疑問について、
実際の流れを体験ベースでまとめています。
これから受診を考えている方の参考になれば嬉しいです。
目次
大人になってから診断を考えた理由
もともと子どもの頃から、
・サバサバした性格
・一人の方が好き
・こだわりの強さ
・感覚過敏/鈍麻
といった特徴がありました。
ただ、それを深く考えることはなく、
「性格の問題」として片付けてきました。
大人になってからは、
人間関係や仕事の中でうまくいかないことが増えました。
「自分の努力が足りないだけなのか?」と
悩むことも多くなりました。
子どもの頃から過集中や目を見て話せないことがあり、
ADHDかもしれないと言われたこともあったため、
ある程度の知識はありました。
ただ、大人になってからは忘れ物も少なく、
時間も守れることから「ADHDではない=普通」と思っていました。
そんな中、恋人と話す中で
「人の気持ちがわからない」という点について
考えるようになりました。
(自分なりには理解しているつもりだったのですが…)
そこから調べていくうちに、
自閉スペクトラム症(ASD)の特徴が自分に当てはまることに気づき、
初めて「一度きちんと調べてみたい」と思うようになりました。
病院探し
受診を決めてから、まず悩んだのが
「どの病院に行けばいいのか」という点でした。
発達障害の診断は、主に精神科や心療内科で行われますが、
すべての病院で対応しているわけではありません。
そのため、「発達障害 外来」「大人 発達障害 病院」などで検索し、
対応している病院を探しました。
・職場から通いやすい場所か
・仕事終わりでも通える診療時間か
・事前に情報がしっかり掲載されているか
・予約の取りやすさ
などを基準に探していきましたが、
実際には予約が取りづらかったり、
初診まで時間がかかることも多く、
思っていたよりハードルは高いと感じました。
予約〜初診まで
予約はWebサイトから行いました。
その際、簡単な問診や受診理由をオンラインで入力しました。
私の場合、
予約から初診までは1週間ほどでした。
初診では、
これまでの生活や困りごとについて詳しく聞かれました。
子どもの頃の様子、人間関係、仕事、現在の悩み、受診理由、過去の精神的な不調など、
かなり幅広い内容です。
なお、大人の発達障害の検査は別日で行うことになっており、
初診は相談とヒアリングで終了しました。
検査内容
後日、発達障害の検査を受けました。
私が受けたのは「WAIS-IV」という知能検査です。
これは大人向けの代表的な検査で、
主に以下の4つの指標から認知の特性を測ります。
言語理解(VCI)
語彙力や、言葉で説明する力などを測る指標です。
単語の意味を説明したり、
2つの言葉の共通点を答えるような課題が出されます。
(例:「朝食とは何か」「〇〇と△△の共通点は?」など)
言葉の理解や表現のしやすさに関わる部分で、
コミュニケーションの土台になる能力です。
知覚推理(PRI)
目で見た情報をもとに、
論理的に考える力を測る指標です。
図形やパターンの法則を見つけたり、
積み木で見本と同じ形を作るような課題があります。
空間認識や視覚的な理解力に関わる部分です。
ワーキングメモリー(WMI)
耳から入った情報を一時的に記憶し、
それを処理する力を測る指標です。
数字をそのまま、または逆から言い直すような課題が出されます。
集中力や、頭の中で情報を整理する力に関係しています。
処理速度(PSI)
単純な作業をどれだけ速く正確に行えるかを測る指標です。
記号を書き写したり、
特定のパターンを素早く見つける課題が出されます。
作業スピードや効率に関わる能力です。
検査を受けている最中は、
思っていたよりも「普通のテスト」に近い印象でした。
ただ、問題の内容によっては「これは得意だな」と感じるものと、
「全然できないな」と感じるものの差がはっきりしていたのが印象的でした。
特に、言葉で説明する問題はうまく答えられないことが多く、
自分の中では分かっているつもりでも、
それを言語化する難しさを改めて感じました。
一方で、図形やパターンを扱う問題は比較的スムーズに解けるものも多く、
「自分の得意・不得意ってこういう形で出るんだ」と少し面白さも感じていました。
検査中は淡々と進んでいきますが、
終わったあとに振り返ると、
自分の特性がはっきり表れていたように思います。
診断結果を伝えられたとき
診断結果は後日の受診時に伝えられました。
医師からは、
「子どもの頃のエピソードや現在の困りごとに加え、
検査結果から見ても自閉スペクトラム症で間違いないと思います」
と説明を受けました。
そのときの気持ちは、強いショックというよりも、
「やっぱりそうだったんだ」という納得の感覚に近いものでした。
これまで感じていた違和感や生きづらさに、名前がついたような感覚でした。
同時に、「自分のせいだけではなかったんだ」と思えたことで、
少し気持ちが軽くなったのも印象に残っています。
私の場合はパートナーとの関係に悩んでいたこともあり、
これからどうしていけばいいのか不安もありましたが、
まずは自分を理解することが大切だと感じました。
また、検査結果としては、平均を100とした場合、
・処理速度、知覚推理:130前後
・言語理解:70前半
という結果でした。
言語理解が低いことは予想していましたが、
空間把握や処理能力が高いことは自分でも意外でした。
デザイナーという仕事をしていることもあり、
図形や空間把握の数値が高かったことは、
自分の強みを再認識するきっかけにもなりました。
診断までにかかった期間・費用
私の場合、初診から診断までは数回の通院があり、
トータルで1〜2ヶ月ほどかかりました。
費用は検査内容や通院回数によって異なりますが、
数千円〜1万円前後になることが多いようです。
(※あくまで一例のため、病院によって異なります)
なお、その後はカウンセリングなどで継続的に通院することも可能とのことでしたが、
私は現在のところ定期的な通院は行っていません。
実際に感じたこと
診断を受けて良かったと感じているのは、
「自分を理解するきっかけになったこと」です。
それまで「なぜできないのか」と自分を責めていたことも、
特性として捉えられるようになり、
少しずつ向き合い方が変わってきました。
診察の際、私は医師にこんな質問をしました。
「練習すれば、人の気持ちがわかるようになりますか?普通に会話できるようになりますか?」
すると医師は、こう答えました。
「生まれつき足のない人に、自分の足で歩けと言うのは無理ですよね。
でも義足をつければ“歩く”ことはできます。
脳の作りが違うので、感情を自然に読み取るのは難しいです。
でも、その対処法を学ぶことはできます。」
私は、人の気持ちがわかるようになりたいし、
普通に会話ができるようになりたいと思っています。
診断を受けたからといって、
すべてが解決するわけではありません。
それでも、自分の状態を知ることには
大きな意味があったと感じています。
まとめ
大人になってから発達障害の診断を受けることには、
不安や迷いもあると思います。
私自身も、受診するまではかなり悩みました。
ですが実際に受けてみて、「知ることができてよかった」と感じています。
もし同じように悩んでいる方がいたら、
一つの選択肢として参考になれば嬉しいです。


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